プロパンガスと都市ガスの供給エリアの違いを徹底解説|導管の有無で決まる仕組みと確認方法

引っ越し先の住まいがプロパンガスか都市ガスか――気になっても、どこで確認すればよいかわからない人は少なくありません。実は、供給エリアは「地下に導管(パイプライン)が埋設されているかどうか」でほぼ自動的に決まります。この記事では、プロパンガスと都市ガスの供給エリアの仕組み、自分の住所がどちらのエリアかを調べる方法、そして供給エリアを選んだり変更したりできるのかを整理して解説します。


プロパンガスと都市ガスの供給エリアには決定的な違いがある

供給エリアの違いは「導管の有無」で決まる

プロパンガス(LPガス)と都市ガスの最大の違いは、ガスを届けるインフラの有無にあります。

  • 都市ガス:地下に埋設された導管(パイプライン)を通じて、ガス事業者の製造・供給拠点から各家庭へガスを届ける方式。導管が敷設されている地域でしか利用できません。
  • プロパンガス:ボンベ(シリンダー)にガスを充填してトラックで届ける方式。導管インフラが不要なため、実質的に全国どこでも利用可能です。

つまり、あなたの住む地域に都市ガスの導管が通っていれば都市ガス、通っていなければプロパンガスというのが基本的な判定になります。

この記事でわかること

  • 都市ガスとプロパンガス、それぞれの供給エリアの仕組み
  • 供給方式の違いをまとめた比較表
  • 自分の住所がどちらの供給エリアかを確認する具体的な方法
  • 供給エリアを選んだり変更したりできるのかという現実
  • 引っ越し前にガスの種類を知っておくべき理由

都市ガスの供給エリアの仕組みと特徴

地下導管(パイプライン)で届ける仕組み

都市ガスは、ガス事業者が工場やプラントで天然ガスなどを原料に都市ガスを製造し、地下導管(パイプライン)を通じて各家庭に供給します。導管は道路の地下に埋設されており、各戸への引き込み管を通じてガスメーターに接続される仕組みです。

この導管ネットワークの整備には多大な費用と時間がかかるため、導管が敷設されているエリア=都市ガスの供給エリアとなります。

供給エリアは都市部・人口密集地に偏在

導管の敷設コストは、人口密度が高い地域ほど1世帯あたりの負担が小さくなります。そのため、都市ガスの供給エリアは首都圏、関西圏、中京圏などの大都市やその周辺、地方の中核都市に集中しています。

逆に、山間部、過疎地、離島などは導管敷設が採算に合わず、都市ガスの供給エリア外となっているケースがほとんどです。

国内192事業者が地域ごとに供給(2019年3月時点)

日本の都市ガス事業は、2019年3月時点で国内に192の事業者が存在し、それぞれが所定の供給区域(地域)を持ってガスを供給しています。大都市圏を中心に広域供給を行う大手事業者から、限られた地域に供給する小規模事業者まで、規模はさまざまです。

なお、都市ガス事業は「ガス事業法」に基づき、各事業者が経済産業大臣または都道府県知事の許可を得て供給区域を定めて営業しています。

2018年にガス種が13A・12Aの2種類に統一

かつて日本の都市ガスは、原料や製造方法の違いにより6種類(13A、12A、6A・6B、5A・5C、4A・4B、L1)のガス種が存在していました。しかし、2018年8月に13Aと12Aの2種類への統一が完了しました。

これにより、全国どこでも都市ガス器具の互換性に関する混乱が大幅に軽減され、引っ越し時のガス器具の持ち込みもしやすくなっています。


プロパンガス(LPガス)の供給エリアの仕組みと特徴

ボンベ(シリンダー)供給が主流で導管不要

プロパンガスは、液化石油ガス(LPG)を高圧でボンベに充填し、配送トラックで各家庭のガスメーター横にあるボンベと交換する方式が主流です。地下導管のような大規模インフラが不要なため、供給エリアの制限が実質的にありません。

ガスメーター横に金属製のボンベが2〜3本置かれているのがプロパンガスの典型的な特徴です。

実質的に全国どこでも利用可能

プロパンガスは、ボンベで届ける仕組み上、日本全国どこでも利用可能です。山間部、離島、過疎地など、都市ガス導管が届かない地域でも、ボンベを配送する道路さえあれば供給できます。

実際、日本のガス消費世帯のうち約45%がプロパンガスを利用しており、都市ガスの供給エリア外の地域ではプロパンガスが生活インフラとして欠かせない存在となっています。

プロパンガスから都市ガスへの乗り換えを検討している場合は、[プロパンガスと都市ガスの変更費用]についても確認しておくとよいでしょう。

小規模導管供給・バルク供給などの多様な供給形態

プロパンガスの供給方式はボンベ供給だけではありません。地域や建物の規模に応じて、以下のような供給形態があります。

  • 小規模導管供給:集合住宅などで、敷地内にガス貯槽を設置し、そこから各戸へ導管でガスを分配する方式
  • バルク供給:大型の地上貯槽にガスを貯蔵し、タンクローリーで定期的に補充する方式。戸建て住宅や小規模集合住宅で採用されることがあります

これにより、プロパンガスは戸建てから大規模集合住宅まで幅広い住環境に対応しています。

70世帯以上の集合住宅ではコミュニティーガス方式も

70世帯以上の集合住宅では、コミュニティーガス(旧・簡易ガス)方式が採用されることがあります。これは、マンションの敷地内にLPガスの気化装置を設置し、そこから各戸へマイクロ導管でガスを供給する仕組みです。

コミュニティーガス方式は、外観上は都市ガスと同じように壁面にガスメーターが並んでいるため、一見すると都市ガスと区別がつきにくいことがあります。ガスメーターや検針票を確認する際の判別ポイントは後述します。

コミュニティーガスと簡易ガスという用語について、詳細は[コミュニティーガス 簡易ガス 供給エリア]としてまとまった情報も参考になります。


供給エリアの違いを比較表で整理

都市ガスとプロパンガスの供給方式・エリア・インフラ比較表

比較項目 都市ガス プロパンガス(LPガス)
供給方式 地下導管(パイプライン)経由 ボンベ(シリンダー)配送が主流
導管インフラ 必要(道路地下に埋設) 原則不要
供給エリア 導管敷設地域に限定 実質全国どこでも
エリアの偏り 都市部・人口密集地に集中 全国均一に対応可能
主な供給先 都市部の戸建て・集合住宅 都市部周辺・地方・過疎地・離島
事業者数 192事業者(2019年3月時点) 約1,700事業者(卸売含む)
ガス種 13A・12A(2018年統一完了) LPガス(規格統一)
供給形態 導管のみ ボンベ・小規模導管・バルク・コミュニティーガス

地方・過疎地・離島ではプロパンガス一択になる理由

地方や過疎地、離島では、都市ガスの導管敷設が人口密度の観点から採算に合わず、プロパンガスが事実上の唯一の選択肢になります。

導管敷設には1kmあたり数千万円〜数億円の費用がかかるとされ、住戸数が少ない地域では投資回収が困難です。そのため、これらの地域ではプロパンガスが生活に不可欠なエネルギーインフラとして機能しています。


自分の住所がどちらの供給エリアか確認する方法

ここからは、自分の住まいがプロパンガスと都市ガスのどちらの供給エリアにあるかを確認する具体的な方法を解説します。

ガスメーターの見分け方(都市ガスとプロパンガス)

もっとも確実で簡単な判別方法は、屋外にあるガスメーターとその周辺を確認することです。

  • プロパンガスの特徴:ガスメーターの横に金属製のボンベ(シリンダー)が2〜3本置かれている。ボンベは直径約30cm、高さ約1mほどの円筒形です。
  • 都市ガスの特徴:ガスメーターは壁面に埋め込まれているか、地面から立ち上がるパイプに接続されており、ボンベは見当たりません。メーターBOXに「東京ガス」「大阪ガス」などの事業者名が記載されています。

※コミュニティーガス方式の集合住宅では、壁面にメーターが並んでいるため都市ガスと見た目が似ています。この場合は事業者名で判別します。

ガス会社名で判別する方法

ガスメーターのBOXや検針票、ガス会社の封印ステッカーに記載されている事業者名で判別できます。

  • 都市ガス事業者の例:東京ガス、大阪ガス、東邦ガス、西部ガスなど
  • プロパンガス事業者:地域密着型の販売店が多く、「○○LPガス」「○○プロパン」などの社名が一般的

検針票やガスの請求書が手元にあれば、そこの事業者名を確認するだけでも判別可能です。

プロパンガスにお住まいの場合は、[プロパンガスと都市ガスの料金比較]を確認し、現在の料金が適正かどうかをチェックしてみるのもよいでしょう。

日本ガス協会の事業者検索で確認

日本ガス協会のWebサイトでは、都市ガス事業者の供給区域を検索できます。住所や地域名から該当する都市ガス事業者を調べられるため、引っ越し前に自宅が都市ガスの供給エリアかどうかを事前確認するのに便利です。

手順は以下の通りです。

  1. 日本ガス協会のWebサイトにアクセス
  2. 「都市ガス事業者検索」または「供給区域検索」のページを開く
  3. 住所または都道府県・市区町村を入力して検索
  4. 該当する都市ガス事業者が表示されれば都市ガスエリア、表示されなければプロパンガスエリアの可能性が高い

引っ越し前に事前に確認する手順

引っ越しを控えている方は、以下の手順でガスの種類を事前に確認しましょう。

  1. 入居予定の物件の不動産会社・管理会社に確認:物件情報に「都市ガス」または「プロパンガス(LPガス)」の記載があるか聞く
  2. 日本ガス協会の事業者検索で住所確認:上記の手順で入居先住所が都市ガス供給エリアか確認
  3. 現在の住まいのガスメーターを確認:プロパンガスの料金に不満がある場合は、[プロパンガスと都市ガスの引っ越しでの選び方]を参考に乗り換えのタイミングも検討

引っ越し前にガスの種類を知っておくことで、ガス器具の買い替え必要性や光熱費の見積もりに役立てられます。[LPガスの乗り換えのきっかけ]や[LPガスの乗り換えのタイミング]についてもあわせて確認しておくと、スムーズな引っ越しが可能です。


供給エリアは消費者が選べる?変更・切り替えの現実

基本的に居住地の導管有無で自動決定

結論から言うと、供給エリアは基本的に居住地の導管の有無で自動的に決まり、消費者が自由に選べるわけではありません。都市ガスの導管が通っている地域に住めば都市ガス、通っていなければプロパンガスというのが原則です。

都市ガス導管がない地域→プロパンガスのみ

都市ガスの導管が近隣を通っていない地域では、プロパンガス以外の選択肢はありません。この場合、プロパンガスの料金設定は各販売店が自由に決められる「自由料金制」が原則であるため、事業者間で料金に大きな差が生じることがあります。

料金の差に不安がある場合は、プロパンガス料金の比較サービスを活用して、自宅の料金が適正かどうかを確認することをおすすめします。

都市ガス導管が近隣を通っている場合の引き込み工事の可能性

まれに、居住地のすぐ近くまで都市ガスの導管が通っているケースがあります。この場合は、導管の引き込み工事を行うことで都市ガスへの切り替えが可能になることがあります。ただし、工事費用は数万円から数十万円かかる場合があり、道路の掘削を伴う場合は道路管理者の許可も必要です。詳細な費用感や手続きについては、お住まいの地域の都市ガス事業者に直接ご相談ください。

マンションでは建物設計段階で決定済み

マンションなどの集合住宅では、ガスの種類は建物の設計・建設段階ですでに決定されています。住户が個別にガスの種類を選んだり変更したりすることはできません。[プロパンガスと都市ガスのマンションでの違い]について知りたい場合は、別記事を参考にしてください。


まとめ:供給エリアの違いを知って賢くガスを選ぶ

プロパンガスエリアでも料金適正化は可能

供給エリアは居住地の導管有無で決まるため、消費者が自由に選べるわけではありません。しかし、プロパンガスエリアに住んでいるからといって高額なガス料金に甘んじる必要はありません。

プロパンガスは自由料金制である反面、事業者を乗り換えることで料金の適正化が可能です。[プロパンガスと都市ガスの停電時の使える・使えないの違い]などもふまえつつ、ご自身のライフスタイルに合ったガス選びをしましょう。

引っ越し時は事前確認が最重要

引っ越しを機にガスの種類が変わることは珍しくありません。入居先がプロパンガスか都市ガスかを事前に確認しておくことで、ガス器具の対応確認や光熱費の見積もりなど、引っ越し後のトラブルを防げます。

とくにプロパンガスエリアに引っ越す場合は、入居後にガス料金が思ったより高いと感じても、事業者を比較・検討することで適正な料金に近づけられます。エネピの無料比較シミュレーションを活用すれば、現在のプロパンガス料金が適正かどうかを簡単にチェックでき、よりおトクなプランへの乗り換えもスムーズに進められます。まずは一度、ご自宅のガス料金を見直してみてはいかがでしょうか。