停電時にプロパンガスと都市ガスは使える?機器別の使用可否と災害時の供給力を比較

台風・地震・大雪などの災害時、一番に気になるのが「ガスは使えるのか」ではないでしょうか。停電が起きると、電気に依存する機器は一切動かなくなりますが、ガスの供給自体は停電でも継続するケースが多いです。

ただし、使えるかどうかはガスの種類(プロパンガスか都市ガスか)よりも、「そのガス機器が電源を必要とするかどうか」で決まります。

この記事では、停電時にどのガス機器が使えてどれが使えないのか、プロパンガスと都市ガスの災害時の供給信頼性の違い、そして安全にガスを使うための注意点を解説します。


停電時にプロパンガス・都市ガスは使えるのか【結論】

ガスの供給自体は停電でも継続するケースが多い

まず大前提として、停電=ガスが止まるではありません。プロパンガスも都市ガスも、ガスそのものの供給は停電だけでは停止しません。プロパンガスは各戸のボンベ(容器)から供給されるため電力とは無関係です。都市ガスも地下配管の圧力で供給されており、多くの場合、停電だけでは供給が途切れません。

東京ガスの公式情報でも、停電時に「ガスの供給自体は維持される」と明記されています(出典:東京ガス「停電時のガスのご使用について」)。

使えるかどうかは「ガスの種類」より「機器の電源要件」で決まる

停電時にガス機器が使えるかどうかを決めるのは、プロパンガスか都市ガスかではなく、その機器が電気を使うかどうかです。

  • 電気を一切使わない機器(マッチやライターで点火)→ 停電でも使える
  • 電気点火・電動ファン・電子制御を必要とする機器 → 停電では使えない

この基準はプロパンガス・都市ガスどちらでも共通です。


停電時に使えるガス機器・使えないガス機器一覧

以下の分類は、東京ガス公式ページの情報に基づいています。

【使える】ガスコンロ・風呂がま・ガス小型湯沸器・ガスストーブ

停電時でも使用可能なガス機器は、電気を必要としない機器です。

機器 理由
ガスコンロ(グリルなし・電池点火なし) マッチやライターで直接点火可能
風呂がま 立ち上がり式で電気不要
ガス小型湯沸器(簡易湯沸器) 水圧とマッチ点火で作動
ガスストーブ(対流式・反射式) マッチ点火で使用可能

ガスコンロを使う場合の点火手順: 1. コンロのつまみを「点火」位置に回す 2. マッチまたはライターでバーナーに近づけて着火

※電気点火(チャカチャカと音がするタイプ)のコンロは、電池が切れているとマッチ点火が必要です。

【使えない】ファンヒーター・給湯器・ガスオーブン・床暖房など

停電時に使えないのは、電気で動くファン・ポンプ・電子制御基板を搭載した機器です。

機器 使えない理由
ガスファンヒーター 送風ファンが電気駆動
給湯器(壁掛けタイプ) 制御基板・排気ファン・ポンプが電気駆動
ガスオーブン・ビルトインコンロ 電子制御・グリル排気ファンが電気駆動
ガス床暖房 温水循環ポンプが電気駆動
エコジョーズ(潜熱回収型給湯器) 電子制御・ポンプが電気駆動

これらの機器は電源が復旧するまで使用できません。

一部ガスコンロは乾電池ケースオプションで停電対応可能

ガスコンロのなかには、乾電池ケースを取り付けることで停電時も電気点火が使える機種があります。

  • 単1乾電池2〜3本で点火回路に電力を供給
  • メーカー純正オプションとして販売されている場合が多い
  • リンナイ・ノーリツなど主要メーカーが対応機種を展開

災害備えとして、ご自宅のガスコンロが乾電池ケース対応かどうかを事前に確認しておくことをおすすめします。


プロパンガスと都市ガスの供給方式の違いが災害時の信頼性に直結する

プロパンガスはボンベ(容器)備蓄で電力インフラ非依存

プロパンガス(LPガス)の最大の強みは、各戸または集合住宅の敷地内にガスボンベが備蓄されている点です。

  • ガスはボンベ内に液化して圧縮保存されているため、外部からの供給インフラに依存しない
  • 配管が長距離にわたらないため、地盤の液状化や断層変位による配管損傷リスクが低い
  • 停電時もボンベ内のガス圧で自然に供給が続く
  • 1本のボンベで通常2〜4週間分のガスがまかなえる

この「分散型・個別備蓄」という供給方式が、災害時のプロパンガスの高い供給信頼性を支えています。

都市ガスは地下配管ネットワーク経由で大規模災害時に供給停止リスク

一方、都市ガスは工場から地下配管ネットワークを通じて各戸にガスを供給する方式です。

  • 配管は数キロ〜数十キロメートルにわたるため、地震による地盤変位で損傷するリスクがある
  • 大規模な災害では、ガス漏れ防止のために広範囲で計画的に供給停止(保安遮断)を行う場合がある
  • 供給停止からの復旧には、配管の安全確認・住民の立ち会いが必要で、数日〜数週間かかるケースもある

東日本大震災では東京ガスエリアで約36万戸が供給停止

東日本大震災(2011年3月)では、東京ガスの供給エリアで約36万戸がガス供給停止となりました。

  • 供給停止は主に千葉県北部や茨城県など、揺れの大きかった地域
  • 復旧には約1ヶ月を要した地域もあった
  • 配管の安全確認を含む大規模な復旧作業が必要だったため

この実例が示すように、都市ガスは大規模地震において広範囲かつ長期の供給停止リスクを抱えています。


地震時はガスメーターが自動遮断する【プロパンガス・都市ガス共通】

震度5以上でマイコンメーターが自動的にガスを遮断

プロパンガス・都市ガスを問わず、現在のガスメーターの多くにはマイコンメーターが搭載されており、震度5以上の地震を検知すると自動的にガスの供給を遮断します。

これは、地震によるガス漏れを未然に防ぐための安全装置です。マイコンメーターは地震の揺れだけでなく、ガスの異常な流量上昇や圧力低下も検知して遮断します。

復帰には安全確認後にメーターの復帰操作が必要

ガスメーターが自動遮断した場合、ガスが自動的に再開することはありません。居住者自身が安全を確認した上で、メーターの復帰操作を行う必要があります

復帰操作の手順を画像付きで解説

マイコンメーターの復帰手順:

  1. ガス機器をすべて止める - コンロ、給湯器などすべてのガス機器のスイッチをOFFに

  2. メーターのキャップを外す - メーター前面の透明または白色のキャップを手前に引き上げる

  3. 復帰ボタンを長押しする - キャップの内側にある復帰ボタンを、ランプが点灯するまでしっかり押し込む

  4. 約2分間待つ - メーターが自動的に安全確認を行う間、そのまま待機 - この間にガス機器を使わないこと

  5. ランプの点滅が消えれば復帰完了 - ランプが消灯または一定間隔の点灯に戻れば、ガスが使える状態に復旧

※メーターを操作しても復帰しない場合は、ガス漏れの可能性があるため、ガス会社に連絡してください。


停電時のガス使用に関する安全上の注意点

換気扇が作動しないため必ず窓を開けて換気

停電時は換気扇が動かせません。ガスを燃焼させると二酸化炭素(CO2)や一酸化炭素(CO)が発生するため、必ず窓を開けて十分な換気を行ってください

  • ガスコンロを使うときは、キッチンの窓を開ける
  • ガスストーブを使うときは、部屋の窓を2箇所以上開ける
  • 特に密閉された部屋でのガス使用は避ける

夜間はガス機器が見えず操作ミスの危険

停電で照明が使えない夜間は、ガス機器の操作ミスややけどのリスクが高まります。

  • 懐中電灯やランタンを手元に用意してからガス機器を操作する
  • 炎が見えるかどうかを確認してから手を離す
  • 小さなお子様や高齢者がいる家庭では、代わりに大人が操作する

使用前にガスの匂いや機器の破損を確認

停電が地震に伴うものである場合、ガス機器や配管が損傷している可能性があります。

  • ガスを使用する前に、ガス特有の匂い(ニンニクのような臭い、または腐った卵のような臭い)がしないか確認する
  • ホースの接続部に隙間がないか、機器に割れや変形がないか目視確認する
  • 匂いや異常を感じた場合は絶対に使用せず、ガス会社に連絡する

ガスの匂いの違いについて詳しく知りたい方は、「プロパンガスと都市ガスの匂いはどう違う?付臭剤の種類とガス漏れ時の見分け方を解説」もご覧ください。


災害時に強いのはプロパンガスか都市ガスか【まとめ】

供給の安定性ではプロパンガスが有利

災害時の供給信頼性を比較すると、プロパンガスのほうが安定しています

比較項目 プロパンガス 都市ガス
供給方式 ボンベ個別備蓄 地下配管ネットワーク
停電の影響 ほぼなし ほぼなし(ただし給湯器などは不可)
大地震の影響 ボンベ倒れに注意だが供給停止リスク低 広範囲の供給停止リスクあり
復旧の早さ ボンベ交換で即時対応可能 配管検査に数日〜数週間

プロパンガスは「ボンベがあればガスがある」というシンプルな備蓄方式のため、大規模災害時も供給が止まりにくく、万が一止まってもボンベの交換で迅速に復旧できます。

日常の利便性・料金面では都市ガスが有利な場合も

一方で、日常の利便性や料金面では都市ガスが有利なケースもあります。プロパンガスと都市ガスの料金差について詳しくは、「プロパンガスと都市ガスの料金比較|世帯人数別・地域別の月額差を徹底解説」をご参照ください。

また、ガスの安全性全般について比較した「プロパンガスと都市ガスの安全性を徹底比較|ガス漏れ・爆発リスクの違いを専門家視点で解説」もあわせてご確認ください。

災害備えとして知っておくべきポイント

災害時に備えて、以下のポイントを押さえておきましょう。

  • ガスコンロが乾電池対応か確認する(対応であれば乾電池を常備)
  • マッチ・ライターを複数箇所に保管する
  • マイコンメーターの復帰操作を家族全員で練習しておく
  • プロパンガスの場合はボンベの残量を定期的に確認する
  • 万が一の供給停止に備え、カセットコンロとボンベも併せて備蓄する

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プロパンガスと都市ガスの熱量の違いについて知りたい方は、「プロパンガスと都市ガスの熱量の違いを数値で解説|火力は同じって本当?」もあわせてご覧ください。

プロパンガスからの乗り換えを検討されている方は、「LPガスの乗り換えを考える5つのきっかけ|あなたに当てはまる?今すぐ確認すべきサイン」や「プロパンガスから都市ガスへの変更費用を徹底解説|工事費・機器交換費の総額シミュレーション」も参考にしてください。